仕事で大量の資料や画像、請求書などを扱っていると、report_001.pdf、report_002.pdfのような名前を、2026_09_report_001.pdf、2026_09_report_002.pdfのようにまとめて変更したいことがあります。

数件なら手作業でも対応できますが、50件、100件と増えると、一つずつ同じ文字を入力する作業は負担になります。漏れや入力間違いも起こりやすいため、年月の置換や連番のように規則が明確なら、対象フォルダをZIPにまとめて一括処理する方法が便利です。

ファイル名一括変更ツールでは、対象をZIPに圧縮して読み込み、変更ルールと変更前・変更後を確認してから新しいZIPを作成できます。

今回の例:月次資料12件の年月だけを更新する

2026_08_売上報告.xlsxや2026_08_請求一覧.xlsxなど12件を含むフォルダを複製し、9月分として準備する場面を考えます。目的はファイル名中の2026_08だけを2026_09へ置き換え、拡張子、ファイル内容、フォルダ構成を変えないことです。

事前に決めること今回の条件
変更対象ファイル名に2026_08を含む12件
変更規則2026_08 → 2026_09
変更しないもの拡張子、本文、フォルダ名と階層
完了条件対象12件が変更され、重複・エラーが0件

このように対象、規則、変更しない範囲、完了条件を先に決めると、プレビューで何を確認すべきか明確になります。元ファイル名に2026_08がない資料は「変更なし」でよく、無理に全件を変更する必要はありません。

ファイル名を一つずつ変更するのは意外と手間がかかる

複数ファイルの名前をそろえる作業では、ファイルを選ぶ、名前を編集する、確定する、次のファイルへ移る、という操作を何度も繰り返します。途中で別の作業が入ると、どこまで変更したか分からなくなることもあります。

特に年月、案件名、提出先など、すべてのファイルに共通する部分を手入力すると、全角・半角の違い、区切り記号の抜け、番号の重複が生じやすくなります。一括変更が向いているのは、判断が必要な命名ではなく、同じ規則を繰り返し適用できる作業です。

  • 名前に含まれる古い年月を新しい年月へ置き換える
  • すべてのファイルの先頭に提出先を付ける
  • 元のばらばらな名前を一定の連番へ変える
  • 既に用意した一覧どおりに一件ずつ異なる名前へ変える

ファイル名の一括変更が便利な場面

日常業務では、元のファイル群に共通部分があり、変更後の規則も明確な場面がよくあります。代表的な例を見てみましょう。

月次・週次資料の日付をまとめて変更する

前月の資料を複製して今月分を作ると、ファイル名だけが古い年月のまま残ることがあります。

変更前変更後
2026_08_売上報告.xlsx2026_09_売上報告.xlsx
2026_08_在庫一覧.xlsx2026_09_在庫一覧.xlsx
2026_08_請求一覧.xlsx2026_09_請求一覧.xlsx

この場合は検索文字列を2026_08、置換文字列を2026_09にします。経理、営業、事務など部門を問わず、定期資料の更新で使いやすい規則です。

プロジェクト名・顧客名をまとめて置換する

old_project_仕様書.pdf、old_project_見積書.xlsx、old_project_議事録.docxを、新しい案件名のnew_project_...へそろえる場合も検索・置換が使えます。顧客の社名変更、部署名変更、案件コード変更にも同じ考え方を適用できます。

提出資料に同じ文字を追加する

見積書.pdf、仕様書.pdf、作業報告書.pdfを提出するとき、先頭にA社_を追加すれば、A社_見積書.pdfのように提出先を明確にできます。日付を先頭へ付けて20260908_検査結果.xlsxのようにする場合も同様です。

一方、提出用、確認済、backup、finalなどの状態を示したい場合は、拡張子の前へ後文字を追加します。たとえば契約書.pdfを契約書_提出用.pdfにできます。

写真や検査データに連番を付ける

カメラが付けた番号は撮影順に飛びがある場合があります。現場写真、設備点検写真、商品画像、スキャン資料を提出順にそろえたいなら、連番が分かりやすくなります。

変更前                 変更後
IMG_3821.jpg     →    inspection_001.jpg
IMG_5012.jpg     →    inspection_002.jpg
IMG_6113.jpg     →    inspection_003.jpg

連番はZIP内に並んでいる現在の順番で付くため、プレビューで対象と番号の対応を確認します。

請求書・契約書を一覧に合わせて変更する

ファイルごとに異なる名前を付ける場合、単純な置換では対応できません。既にExcelなどで新旧名称の一覧があるなら、対照表を使います。

001.pdf    →    A社_請求書.pdf
002.pdf    →    B社_請求書.pdf
003.pdf    →    C社_請求書.pdf

契約書、請求書、通知書、社員資料などに利用できます。ただし、ツールがPDFの中身を読んで会社名を判断するわけではありません。貼り付けた対照表の名前だけを使用します。

過去年度の資料を新年度用に変更する

2025年度のフォルダを2026年度用に複製しても、内部には2025_設備一覧.xlsx、2025_点検計画.xlsx、2025_保守記録.xlsxという名前が残ります。この共通する2025を2026へ置き換えれば、年度更新の漏れを減らせます。

なぜZIPにまとめて変更するのか

ブラウザからローカルファイルを扱う方法はいくつかありますが、利用できる機能や権限はブラウザによって異なります。特定のファイルシステム機能に依存せず、複数ファイルとディレクトリ構造を一つの処理単位として扱うため、KantanToolsではZIPを使用します。

対象フォルダ
    ↓ ZIPに圧縮
ZIP内のファイル名だけ変更
    ↓
新しいZIPをダウンロード

元のローカルフォルダや元のZIPを直接書き換えるのではなく、新しいZIPを作ります。そのため、結果を確認するまで元データを手元に残せます。

変更対象はZIP内のファイル名とパスです。PDFやExcelの本文、CSVのセル、画像の画素などをファイル名変更処理が編集することはありません。ただし、新しいZIPを生成するため、圧縮に関するメタデータやZIPファイル自体のバイナリは元と同一とは限りません。

ZIP内のファイル名を一括変更する手順

  1. 対象フォルダをZIPに圧縮します。 処理したいファイルとフォルダ構成を確認し、元データはバックアップとして残します。
  2. ファイル名一括変更ツールでZIPを選択します。 ファイル数、フォルダ数、展開後サイズとZIP内のパスが表示されます。
  3. 変更方法を選びます。 置換、前文字・後文字追加、連番、テンプレート、対照表から目的に合う規則を設定します。
  4. 変更前・変更後を確認します。 プレビューを検索・絞り込みし、意図しない名前や重複エラーがないか確認します。
  5. 新しいZIPを作成してダウンロードします。 ダウンロード後に解凍し、必要なファイルとディレクトリ構造が保たれているか確認します。

今回の例なら、変更件数が12件であること、検索文字列が本文ではなくファイル名だけに適用されること、.xlsxなどの拡張子が残ることを確認します。件数が11件や13件なら、漏れや想定外の一致があるため生成前に止めます。

変更方法の例

変更方法使い方の例
検索・置換2025 → 2026
前文字追加report.pdf → 2026_report.pdf
後文字追加report.pdf → report_backup.pdf
連番IMG_1234.jpg → photo_001.jpg
テンプレート{name}_{date}_{n}を使って名前・日付・連番を組み合わせる
対照表001.pdf → 山田太郎_契約書.pdf

通常は元の拡張子を保持します。後文字を追加する場合も、report.xlsx_backupではなくreport_backup.xlsxのように拡張子の直前へ追加すると、ファイル形式を示す末尾を保てます。

一括変更する前にプレビューを確認する

一括処理は便利ですが、間違った検索文字列やテンプレートを指定すると、数十件、数百件へ同じ間違いが広がります。そのため、設定した瞬間に元ファイルを書き換えるのではなく、変更前と変更後を並べて確認することが重要です。

特に、検索文字列が想定より広く一致していないか、拡張子が残っているか、連番が希望する順番か、対照表に未登録のファイルがないかを確認します。エラーだけを絞り込むほか、ファイル名検索も利用できます。

変更ルールを設定
    ↓
変更前・変更後をプレビュー
    ↓
重複・互換性Warningを確認
    ↓
新しいZIPを生成

ファイル名変更で注意したいこと

同じフォルダ内の名前は重複できない

A_東京.pdfとA_大阪.pdfから地域名を削除し、両方をA.pdfにすると、同じフォルダ内で衝突します。この場合はそのまま処理せず、日付や連番を追加するなど規則を見直します。

異なるフォルダなら同じ名前を保持できる

東京/report.xlsxと大阪/report.xlsxはディレクトリが異なるため共存できます。先頭に2026_を追加すると、東京/2026_report.xlsxと大阪/2026_report.xlsxになり、東京と大阪の構成はそのままです。現在のツールはフォルダ名を変更しません。

OSで使えない文字を避ける

Windowsでは\ / : * ? " < > |などをファイル名に使用できません。予約名、末尾の空白やピリオド、大文字・小文字だけが異なる名前も環境によって問題になります。ツールは生成前に明らかな衝突や互換性上の問題を検査します。

大きなZIPを処理するときの注意

ZIPの推奨サイズは500MB以下です。500MBを超えて1GB以下の場合は利用できますが、端末のメモリや処理能力によって時間がかかることがあります。1GBを超えるZIPは現在処理できません。スマートフォンでは200MBを超える場合にPCでの利用をおすすめします。

圧縮後のサイズだけでなく、ファイル数と展開後の合計サイズもブラウザの負担に影響します。ZIP entryが10,000件を超える場合は警告し、20,000件を超える場合は処理を停止します。展開後サイズが不自然に大きいZIPや、パスワード付きZIPも安全に処理できないため対象外です。

これらはすべての端末で500MBまで必ず処理できるという意味ではありません。大きな社内資料を扱う前に、少量のコピーで操作と出力を確認してください。

Windows・macOS・Linuxでの一括変更方法

各OSには、ファイル名をまとめて変更する標準機能があります。件数が少ない、あるいはたまにしか行わない作業なら、これらの方法だけで十分な場合もあります。以下の操作名やメニュー名はOSのバージョンによって表記や手順が異なる場合があるため、実際の画面で確認しながら進めてください。

Windows

エクスプローラーで複数ファイルを選択し、先頭のファイルでF2(または右クリック→名前の変更)を押すと、入力した名前に連番が付き、選択した全ファイルへ一括適用されます(写真 (1).jpg、写真 (2).jpg…)。名前をそろえて連番を振るだけならこれで足ります。

文字列の置換や条件付きの変更が必要な場合は、PowerShellを使います。

Get-ChildItem -Path "C:\対象フォルダ" -Filter "*.pdf" | Rename-Item -NewName { $_.Name -replace '2025', '2026' }

Windowsのバージョンやエディションによって、エクスプローラーのメニュー名やPowerShellの既定の実行ポリシーが異なる場合があります。実行前に対象フォルダをバックアップし、少数のファイルで動作を確認してください。

macOS

Finderで複数ファイルを選択し、右クリック→「〇個の項目名を変更」を選ぶと、「置き換え」「前後に文字を追加」「フォーマット(名前+連番)」の3方式から選べるダイアログが開きます。コマンドを使わずGUIだけで完結します。

ターミナルで置換したい場合は、次のように書けます。

for f in *.jpg; do mv "$f" "${f/2025/2026}"; done

macOSのバージョンによってFinderのメニュー名や項目の並びが異なる場合があります。ターミナルのコマンドも、シェルの種類(bash・zshなど)によって書き方が変わることがあります。

Linux

多くのディストリビューションにrenameコマンドが入っていますが、構文が2系統あり、ディストリビューションによって異なります。Debian/Ubuntu系はPerl正規表現でrename 's/2025/2026/' *.pdfのように書きます。別の系統ではrename 旧文字列 新文字列 対象ファイルという単純な書き方になります。

事前にrename --versionなどで系統を確認するか、macOSと同様のシェルループを使うと、ディストリビューションに左右されません。

for f in *; do mv "$f" "${f/旧文字列/新文字列}"; done

GUI環境では、NautilusやDolphinなど、ファイルマネージャーが複数ファイル名の一括変更機能を持つ場合があります。ディストリビューションやデスクトップ環境によって、対応コマンドやファイルマネージャーの機能は異なります。

どちらを選ぶか

コマンドやターミナルに慣れていて、たまにしか行わない作業なら、OS標準の方法で十分です。変更前に一覧で確認してから実行したい、コマンドを書きたくない、会社のPCでスクリプトの実行が制限されている、といった場合は、ファイル名一括変更ツールのようにブラウザ上でプレビューしながら処理する方法が向いています。どちらか一方が正解ではなく、ファイル数、作業頻度、扱う情報と社内ルールに合わせて選んでください。

この方法が向いていないケース

  • PDFやExcelの本文を読み、内容に応じて名前を自動生成したい
  • 写真のEXIF撮影日時を読み取って名前へ使用したい
  • OCRやAIで請求書の顧客名を判断したい
  • ファイルを条件別のフォルダへ移動・分類したい
  • ファイルではなくフォルダ名を変更したい
  • ZIPが1GBを超える、または端末のメモリで扱えない

この方法は、年月の置換、統一した前後文字、連番、用意済みの対照表など、ユーザーが明確に指定できるファイル名規則へ集中しています。内容の判定やファイル整理まで必要なら、目的に合うデスクトップソフトや社内システムを検討してください。

まとめ

大量のファイル名を一つずつ変更する代わりに、対象フォルダをZIPへまとめ、共通ルールを設定して新しいZIPを作る方法があります。月次資料の年月置換、提出先や状態の追加、写真の連番、一覧に基づく個別名称への変更など、規則がはっきりした反復作業に適しています。

一括変更では、元データを残し、変更前・変更後のプレビューと重複エラーを確認することが大切です。ブラウザ上でプレビューしながら処理したい場合は、ファイル名一括変更ツールでZIPにまとめてファイル名を変更できます。